Everything reminds me of you something
やばい。誕生日を迎えて、しかも体調悪くて会社休んで独りで家ですごしてしまったせいか、また例の「何を見ても何かを思い出す」症候群が始まってしまったらしい。何年に一回か、こんな感じで昔の彼のことを思い出して頭の中が思い出の本と音楽と匂いと光でいっぱいになってしまう。
今回は、仕事の勉強になると思って読んだ本がアクセルをさらに踏んだ。
私は会社で知財ビジネスをやってるんだけど、ここ数年の世のデジタル化の趨勢を鑑みるに著作権法の限界みたいなのを感じる。次々に出てくるビジネスモデルに対して従来の許諾システムがかえって高コストになってる気がするんだよね……実務煩雑だし。一件一件オーダーメイドでライセンスするっていうのが、実質もう無理……それに、コンプライアンス意識の高い善人からだけ金徴収してるのが現実だから、なんか気分的に著作権著作権と振り回すのも楽しからず。って感じ。
で、なんでこの本を読んで彼のことを思い出してしまったかというと、広く社会に資する情報は自由に誰にでも開かれていてもいいなじゃないの? 財産権として囲い込むよりか自由に利用できるようにしたほうが長い目で見たときに公共の利益を増進させるんでないの? という問いかけが、まさに彼がきっと夢見たことであるという気がしてならないからだ。特に、レッシングが構想した「共有経済」(友愛・愛情のやりとりを中心とする経済)という概念やCC(クリエイティブ・コモンズ)の活動が、彼が持っていたある種のユートピア指向に似てる気がする。彼がインターネット普及初期に抱いていた、ユートピア的な報酬を目的としない互恵社会的アナザーワールドそのもののような気がする。彼が音楽ヲタだったのも影響してるかも……今思うと、80年代の終わりから90年代の音楽って、著作権という概念に対して実のところけっこうシリアスに問題提起していたよね。
私自身は、現在のインターネット空間にユートピアの夢を見る気はないが、昔はたしかにそういう空気があった。なんとなく、微かにその匂いを懐かしむことはできる。
あ〜あ、社会的にも、彼と私は川の両岸に別れちゃってるのかなぁ、もしかして。なんてね……
さびしいな……会いたいよ、君に。かなわないとわかっているのに……ね。
by風花
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